Surface EMG


 筋活動は,一本の運動神経に支配された幾つかの筋線維を一つの単位として起こる.この単位を運動単位(MU: Moter Unit)という. 運動神経の興奮は,神経インパルス列として,その運動神経が支配する筋線維の神経筋接合部(終板)に到達する.その後,神経筋接合部から筋線維の両端に向かって筋線維膜の電気的興奮が伝播し,筋張力が発生する.さらに,筋張力の発生は固有のセンサ(筋紡錘や腱器官)でとらえられ,目的とする位置への腕の移動等,筋張力の調節が行われる.
 筋活動をとらえようとして,これまでにエネルギー代謝,筋骨格系のバイオメカニクス,そして神経筋制御系から研究が進められてきた.エネルギー代謝では血液中酸素飽和度,バイオメカニクスでは関節角度や機械インピーダンス,そして神経筋制御系では筋活動電位(筋電図)が計測される.この中で比較的計測が容易なのが表面筋電図である.
 表面筋電図は目的とする筋肉の皮膚上に貼付した電極によって,各MUの電気的興奮(活動電位)を時間的・空間的に重ね合わせた信号を計測したものである.これによって,同じ筋張力を維持している状態であっても,複数の神経インパルス列の振る舞いやエネルギー代謝がどのように変化しているのかを計測できる.
 表面筋電図に関して行われた数多くの研究の結果,静的な運動時(等尺性収縮)では,筋電図解析から得られる種々の評価指標がどのような生理学的要因と関係があるのかがかなり明らかになってきた.しかし,実際にダイナミックな運動では,まだ十分に生理的な要因との関連性が解明されていない.ダイナミックな運動時での筋電図解析を進めるには,エネルギー代謝の影響に加え,筋線維や終板の分布等の解剖学的構造による影響を考慮する必要がある.